いぼ状の突起が足の裏を適度に刺激する健康サンダルは、手軽な健康機具として好まれているが、
常時履いていることで、足の裏が厚くなって硬くなる人がいる。こんな人の中には、
水虫になったと間違えて、長期間、治療を続けている例もあるようだ。
●かゆみはない
健康サンダルで起きる症状は、足裏が厚く硬くなる角化症で、所々が白っぽくなるが、かゆみはない。
白癬(はくせん)菌という細菌感染による水虫は、足裏の皮膚病では代表的なものだが、長期化するとかゆみが弱くなり、足底が硬くなる角化型白癬になる。こうなると、菌が見つからないことがよくあり、薬も効きにくくなる。
湘南皮膚科(神奈川県)の栗原誠一医師は「角化型白癬と思われていた患者の足裏を何人も診てきましたが、角化している場所が足裏の歩くときに力が掛かる所に限られている人がいることに気付いたのです」と話す。この人たちは、親指以外の指や指の付け根、そして土踏まずは角化していなかった。水虫の場合は、角化にそうした偏りがないはずなので、栗原医師が、使用している履き物、趣味や運動について調べたところ、この人たちの共通点は健康サンダルを履いていることだった。
●2カ月で治る
栗原医師は、自ら健康サンダルを履いて実験を行った。実験には、毎日、自宅で3、4時間、左足だけ健康サンダルを履いたが、約1カ月後に患者と同じような場所に角化が生じた。もちろん、白癬菌は見つからなかった。さらに、気温や湿度の違いを考えて、夏と冬に実験してみたが、結果は同じで、健康サンダルによる刺激だけで角化が生じることが分かった。
健康サンダルで起きた角化症を治すのは簡単だ。サンダルを履くのを2カ月ほどやめればよく、保湿クリームも必要ない。
栗原医師は「健康サンダルは、すべての人にこんな症状を起こすというわけではないが、長期間、角化型白癬のような症状に悩んでいる人は、少しの間、履くのをやめてみるといいでしょう」と話している。
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